ぶどう膜炎の話 その2 サルコイドーシスについて
投稿日:2017.09.06

以下の文章は、院長が、保険医協会の電話相談によせて記載した内容で、熊本県保険医協会誌にも掲載したものです。

眼科からみた、サルコイドーシス:

「サルコイドーシス」は、眼や肺、リンパ節、皮膚を始め、全身の色々な臓器に障害を起こす可能性のある、全身の病気です。その中でも、眼の病的変化を伴う事が多く、注意が必要です。

サルコイドーシスでは、「ぶどう膜炎」とよばれる眼の中の炎症を起こします。眼の中の、虹彩、毛様体、脈絡膜と呼ばれる組織がぶどう色をしており、ぶどう膜と呼ばれることから、眼の中が炎症を起こした状態を「ぶどう膜炎」と呼びます。そして、色々な「ぶどう膜炎」の原因の中で、この「サルコイドーシス」によるものが多く、常に上位3位以内に入っています。

ぶどう膜炎の症状は、かすみ目、小さな虫が飛んでいるように見える、軽い充血、等の弱いものから、強い視力低下、激しい充血や眼の痛みを感じる場合もあります。

眼科では、まずサルコイドーシスに特徴的な異常があるかどうか注意して調べます。その後、眼以外に異常がないかどうかいろいろな検査を行います。ぶどう膜炎は、眼以外の異常から診断がつく場合もあります。特にサルコイドーシスは眼科検査以外に胸部の異常、採血検査、ツベルクリン反応等が重要です。

治療は、炎症をおさえるステロイド剤と瞳を広げる目薬を使い、症状に応じて、ステロイド剤の局所注射や全身投与を行います。眼以外に病的変化があるときは、内科と協力して治療します。

そして、ぶどう膜炎では、白内障や緑内障、網膜出血や網膜剥離等の合併症を起こす場合がありますので、さらに目薬や手術治療が必要になる場合もあります。治療には長い期間が必要な場合があります。あせらずに、主治医の先生と協力して治療を受けてください。